Saturday, December 17, 2011

ジョルジュ・プレートル指揮ウィーン響の「ブッルクナー交響曲第8番」を聞いて

♪音楽千夜一夜 第234回

いわずと知れたブッルクナーの代表的な破綻蝶作品をプレートル指揮ウィーン響がものの見事に僅瑕すらないライヴ演奏してのけまする。

マーラーの時とまったく同じ手口で、お客様はみなイワシ、ユアーン、ユヤーン口あんぐりと意味謎不明の拍手喝采で、おもわずこっちも手を叩きそうになりますが、どうにもこうにも似ても焼いても喰えない、いや飲めない真水のように透明な演奏。朝比奈やシューリヒトやクナやフルヴェンやヴェームやヴァントやチエリビダッケのような濁りやにがりが、いっさいありまへん。

朝比奈を除いて優れた西欧人の演奏では、ときどきまぎれもなき神、あるいは神のやうなもの、もののけ的にが顕現して、「ふむ。やはり神は存在するのだ」とおもわず頭を垂れてしまう奇跡的な瞬間が訪れることもままあるのですが、プレートルに限っては全然ない。てんで無い。金輪際無い。

おそらくこの合理主義者は我々日本人と同様にキリスト教の神なんて信じていないのでしょう。だから悪い演奏だと言うておるわけではないのですが。


マーラーに神は見えずブルックナーはバッハと同様神を見た人 蝶人

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