Wednesday, December 28, 2011

ジェームズ・ブリッジス監督の「チャイナ・シンドローム」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.183


スリーマイル島の、チエルノブイリの、そして東電福島の原発事故を予見した記念碑的な1979年のハリウッド映画である。

ここでは監督のジェームズ・ブリッジスよりもまず製作者兼フリーキャメラマン役で出演のマイケル・ダグラスの先見の名に深甚なる敬意を表したい。

 テレビ局のキャスター役のジェーン・フォンダも珍しく素直に好演しているが、原発を愛しながら原発の安全性と原発会社の秘密隠ぺい体質に疑問を抱いて苦悩するジャック・レモンの演技が素晴らしい。

フォンダやダグラスの外部からの突っ込みに対して、原発会社の身内のレモンがあるときは会社人間の、またあるときは正義と真実を追及する公正な市民の立場のあいだを揺れ動くさまが、見る者の共感をさそう。そもそも原発で喰っている人間がどうして原発を根本的に批判することができようか。それをあえて身体を張ってやろうとする男を観客は手に汗を握って見詰めるのである。

そして次なる原発着工を目前に控え、事故の真相を隠蔽しようと焦るアメリカ東電は、既存の政治権力と結託してスパイ、脅迫、あまつさえ身内の粛清さえ図ろうとするのだが、これって日本東電の醜悪な現況をなんと30年前に予言していたといえないだろうか?


神仏を一縷の望みと頼りけり 蝶人

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