Monday, December 19, 2011

ハワード・ホークス監督の「コンドル」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.178


サン・テクジュペリの名作「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の土地」「戦う操縦士」をただちに想起させる郵便飛行機をめぐる男の友情物語です。

ただしサンテックスの活動舞台が主にモロッコなど北アフリカの砂漠であったのに対して、これは南米エクアドルの港町。ここはコンドルが棲む高山の麓にあっていつも雨と霧に悩まされなぜか飛行場はいつでも水浸しなのですが、大根役者のケーリー・グラントや名脇役トーマス・ミッチエルなどのあらくれパイロットが活躍する小さな飛行場にNYの踊り子ジーン・アーサーや麗しのリタ・ヘイワースが紛れ込んで来てお馴染みの恋のさや当てがはじまります。

しかし本作の主題はそういうやわなラブロマンスではなく、命知らずのヒコーキ野郎の大冒険。高度1万フィートで操縦席にコンドルが飛び込んできたり、(その前に岩山に盤踞する彼らにニトログリセリンの爆薬を投下した報いか)、宿敵と思われた男との涙ぐましい和解があって、最後の最後にハッピエンドとなるのです。

粗にして野であるが卑ならざるハワード・ホークスの名品です。


世の中は粗にして野にして卑なる奴ばかり 蝶人

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