Saturday, September 03, 2011

クラウス・テンシュタット指揮の「EMI盤偉大なる録音集」を聴いて


♪音楽千夜一夜 217

ロンドン・フィルとの相性が抜群であった旧東ドイツ出身の指揮者テンシュタットをしのぶ超バジェット価格による名演集。

ベートーヴェンの3番、6番、8番、ブラームスの1番、ブルックナーの4番と8番、その他ベルリンフィルとのワーグナー、シューマン、シューベルトなどが盛りだくさんに並んでいる。

ベートーヴェンは少し期待外れだったが、ブラームスの「ドイツレクイエム」が、涙なしに聴くことができない、カラヤンをしのぐ世紀の名演。これだけでもこのセットを入手する価値があるだろう。

なお彼が最も得意としたマーラーの交響曲全集もやはり1枚192円の驚倒価格で発売されているが、これを聴いていると、ガンと闘い、ついに倒れたマエストロの生命が烈々とたぎっている現場に居合わせているようで胸を衝かれる。

彼はマーラーを演奏しながらガンと刺し違えたのである。

くたばれガン、死病を突き刺す不滅のタクトよ 蝶人

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