Thursday, September 29, 2011

西暦2011年長月 蝶人狂歌三昧


ある晴れた日に  98

隣家で鳴く鳩時計で目覚める午睡かな

狼にロ短調ソナタ弾く少女かな

淳作と直筆サイン入りの団扇で涼をとる

ミチアンナイに案内されて登る坂

わが泉ひとつ涸れたる白露かな

蟷螂に喰われながら鳴く油蝉

死に場所を選ばぬ蝉の潔さ

晩節を全うするは難し鎌倉蝶

資生堂パーラーで四千円のランチを食べました

銀座三越でキタムラの黄色い財布が買えました

この眼脂のこの臭さがおらっちの臭さだ

くたばれガン、死病を突き刺す不滅のタクトよ

東電から20年間400億もらったことを忘れたりして

ちょっとばかだけど超キュートマリリン・モンロー・ノータリン

可哀想だた惚れたってことで悲しいってこたあ死にたいってことよ

思いきや水の底より竜立ちて末の松山波越ゆるすとは

健ちゃんにひわいな花だねといわれつつ今朝も咲きたりモミジアオイ

その蟷螂は一本の長く黒い糸をひりだして死んでいた 

健ちゃんが草を刈ったる10袋そのどこに庭鋏が紛れ込んでいるのでせう

さりながら奴隷の音楽も美しいと美しい奴隷が言うた

おいらの最後の女それはアンヌ 僕ちゃんを見捨てないでねえとゴダールが泣いた 

「お父さん、桜は薔薇科だお」「えっ、ほんと?」調べてみたらそのとおり

長崎より飛んできた風蝶十三夜に死す

はるばると長崎揚羽辿り着き我が庭で終えるつかの間の命

真夜中に玄関の鈴ピンポンと一回だけ鳴る夜もあり

介護とは終わりなき自己犠牲らし秋海棠

私たちがいなくなったらだれがこのこのつめをきってやるのだろう

とどのつまりあんたのその崇神と愛国とやらがもっともっと大切なものを滅ぼすのだよ

やっこらせカールベームが振り起こすゆらゆら揺れるフィガロの序曲よ

参人の娘に日替わりで介護される母の無上の仕合わせ

猫か幼児かそれとも私が泣いているのか 蝶人

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