Monday, July 18, 2011

文化学園服飾博物館で「暑さと衣服」展を見る


茫洋物見遊山記第60 &ふぁっちょん幻論第64

うだるような暑さの中で「民族衣装にみる涼しさの工夫」と題した恰好の展覧会を見物しました。

この節はスーパーの付いたクールビズとやらで全国で落ち目の百貨店のみならず青木青山春山ユニクロなどのメンズの売り上げが浮揚しているのは慶賀に堪えません。先日は環境省の伊集院光のように醜く豚太りした役人がなんと派手なデザインのアロハシャツを一着に及んで登所しておりましたが、ここまでスーパーが過熱逆上すると嫌な感じを通り越していい加減にしてくれと叫びたくなります。

クールビズについては、これが本当に二酸化炭素排出に貢献しているのか否か、女性のそれが等閑視されているのは何故か、このような行きすぎた簡素化、カジュアル化がはたしてビジネスと服飾のあるべき姿形なのか等々さまざまな疑問が沸き起こって参りますが、ここではクールビズそのものではなく、それに関連するもっと興味深い2つの事象について触れておきましょう。

ひとつは過去三〇年以上に亘って服飾デザインのみならず衣食住遊休知美商品世界を主導してきたカジュアル化現象の終焉とその反動です。最近のパリコレやミラノコレ、車のデザインの保守反動セダン化や耐震化住宅の要塞化などはそのいささか早すぎる予兆といえるでしょう。

次は列島の「燃えよドラゴン熱帯化現象」です。

例えばアパレルについては旧来の秋冬物とアウターウエア重視の企画内容を春夏物&インアー主力に逆転させる必要がありますし、他の業界にとっても地球温暖化の進行によって年中亜熱帯国と化した我が国のマーチャンダイジングをどのように変容させるかは重要な課題となるでしょう。

熱に浮かれてそんなあほらしいことを考えながら東南アジアやアフリカなど世界中の夏の民族衣装を見物していた私の眼に飛び込んできた、「節電節エコで摂氏二八度の労働条件に耐える究極のスマートウエア」。それはなんとパプアニューギニアの先住民族が愛用しているペニスウエアでした!

一糸もまとわず一本のペニスウエアだけで銀座七丁目を闊歩する。これこそ、この夏もっともイケテル、クールビズファッションではないでしょうか?

*なお本展は来る9月24日まで東京新宿の文化学園服飾博物館にて開催中。休館日は日曜日&祝日、夏季休暇は8月1320日。

全国の男の顔色なからしめ花咲き誇る三千世界 蝶人

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