Tuesday, July 12, 2011

マイケル・ゴードン監督の「夜を楽しく」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.129

1959年のアメリカの喜劇PillowTalkをこう邦訳するとはおぬしなかなかできるな。辞書には寝物語あるいは性交後のうちとけた会話などとあるが、「夜を楽しく」とはねえ。そして実際に見ての感想も、そのタイトルから想像される領域をほとんどでることはないく、内容よりよっぽど気が効いている。

ヒロインにインテリアデザイナーのドリス・デイ、ヒーローに人気作曲家のロック・ハドソンだが、監督のマイケル・ゴードンがどうして揃いも揃った大根役者を起用したのか理解に苦しむ。いや起用したのはプロデューサーか。

映画は、はじめはけんか相手だった2人が実際に出会ってからぐんぐん惹かれていき、そこで思いがけない邪魔が入って一大事が起こり、ついに大恋愛も一巻の終わりかと思われたところで逆転満塁ホーマーというお決まりのプロットを辿ってなんなくPillowtalkへと潜り込むのだが、2人の最初のかかわり合いがなんと共同契約電話だというので驚く。50年代のニューヨークでもまだまだ個人加盟はそれほど普及せず、妊娠している人は優先されたというのである。

それで、ドリス・デイに見つからないように産婦人科に飛び込んだロック・ハドソンが、医者から世にも不思議な「妊娠した男性」扱いされるというお笑いにつながっていくプロットは、しかし語るに落ちてあんまり面白くもないね。ゴードンの演出もデイの衣装も冴えない。

人一人殺しちゃっても死刑にならぬ日本は素敵な法治国家 蝶人

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