Tuesday, March 30, 2010

西暦2010年弥生茫洋花鳥風月人情紙風船

ある晴れた日に 第73回


梅の花花との間に萼ありて

春日遅遅日光写真待つ心

面白うてやがて悲しき水の歌

3月や歯科皮膚科整形外科に日参す

椿落ち鴨泳ぎタテハ飛び鶯が鳴く弥生廿日

辛夷咲き野鴨繕い黄蝶舞い鶯鳴くなり弥生の廿日

桜咲き瑠璃シジミ飛びおたま泳ぐ谷戸にも春は巡りきたれり

なのでなのでを連発すれどなのでの前がてんで分からん

青空から忽然と消えし大銀杏甦れわれら一人一人の胸の裡に

神を恐れおののく孤独な少年を待ち構えていた酒と薔薇の日々

東京の明るい廃墟をよろばいつわが胸に浮かぶ江戸の俤

あの小澤のあとにメスト!ウイーンオペラの歴史と伝統ここにパッタリ尽きたり
 
おたまじやくしの表層を水澄ましのごとく滑走する小澤メスト輩

百聞は一聴に如かずロバの耳に響く王様の音楽

3流のオペラハウスのカルメンを涙を流して聴いているビゼー

カラヤンの最悪の録音はショパンのピアノ曲を管弦楽に編曲した演奏。そこではお涙頂戴のやすっぽい叙情が大安売りされている

普通の女性が光り輝く美女となるげに化粧とは恐ろしき道具よ

人は死に 詩と音楽が 永遠に残る

もう二度と帰ることなきいまのいまをわが生の証とて歌にとどめむ

坂の上の風呂屋の下の道端に今年も咲きたりミモザの花が

今日も元気だ桃山パンク黒墨捲れば紅蓮の炎

私をリストラした人をリストラした人がリストラされました

人よりも物の命は長ければ物に過ぎぬと驕るなかれ人

待ち兼ねた春が蝶よ花よとやってくる

金メダルが2つあったら良かったのにねと語る焼肉屋の柔らかな心

欠陥車作りし咎を身に負いて謝り続けるトヨタ社長

古き良きアメリカの黄金時代二度と帰らず

美しきヴァイオリニストをたぶらかす希代の色事師とく本業に戻れ

あのアパートのあの部屋で男女3人自殺したのか

わが息子指差し「あんな児には近づかないのよ」と教える母親


♪くだらなきいまのみの感懐をとどめおきたくけふもまたくだらぬうたをよむのです 茫洋

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