♪音楽千夜一夜第121回
独スイス国境のオーストリアのボーデン湖上で二〇〇六年の真夏に開催されたブレゲンツ音楽祭の実況録画です。
演出はロバート・カーセンという人ですが、湖上に巨大な船のような石油コンビナートのような構造物を設置して、演技はその広大な空間を舞台に行われます。なにかあると空高く伸びた煙突から紅蓮の炎が衝撃音と同時に舞いあがり、ビジュアル効果満点の派手な見世物です。
指揮はトーマス・ロスナーでウィーン交響楽団が出張っての演奏。なかなか快調なテンポでヴェルデイ節を奏でていました。歌手はヒロインのレオノーラにイアノ・タマール、マンリーコにカール・タナー、ルーナ伯爵がジェリコ・ルチッチ、アズティエーナにマリアンネ・コルネッティという布陣でそれぞれ歌唱力にある実力派と見受けられましたが、なにせ全員がマイクを通して歌っているために、その真価は知るべくもありません。
あくまでも真夏の夜のスペクタクル、世界中からやってきた観光客向けのはかない一場の夢と評すべき公演なのでしょう。
♪面白うてやがて悲しき水の歌 茫洋
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