鎌倉ちょっと不思議な物語19回
御成小学校の辺で雨になった。
この道は古くは大江広元が公文所に通勤するために歩いた道、
中世日本の行政センターに向かう道、
新しくは明治天皇が夏の海水浴のために馬車で運ばれた道、
緑豊かな邸宅が壊され、くだらないマンションが建ちあがりつつある道、
そしていま私がとぼとぼと図書館に向かって歩いている道…
図書館では光明寺の鎌倉アカデミアの回顧デイスプレイをやっていた。生徒は前田武彦、山口瞳、いずみたくなど、先生は林達夫など。
学長は三枝博音、1963年の国鉄鶴見事故で亡くなった。競合脱線という不可解な言葉が新聞を賑わせたことなど誰が覚えているだろう。
図書館には新刊書籍が7冊も届いていた。そのうちの1冊は1220ページの「ランボー全集」全一冊。こんなの2週間で読めるわけがない。
まてまて、花村萬月の「古都恋情百万遍」と杉本彩の「京おんな」もあったぞ。
雨足がだんだん強くなる。早くおうちに帰って彩ちゃんを読もう。
路地の奥に古いポンプがあった。
廃屋の一角で、褐色のポンプは誰かにくみ上げられるのを待っているようだった。
雨よ降れ 草木国土悉皆成仏
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