「唐糸やぐら」と「日月やぐら」を訪ねて
鎌倉ちょっと不思議な物語第188回
釈迦堂の周辺には数多くのやぐらがあります。これらは釈迦堂口やぐら群と称されていますが、その代表的なものが「唐糸やぐら」です。
唐糸の逸話は「御伽草紙」「唐糸草子」で語られているお話です。唐糸は木曾義仲の家臣手塚太郎光盛の娘で琵琶と琴の名手でしたが、義仲の命で源頼朝の命を狙おうとして失敗、とらえられて幽閉されたのがこの唐糸やぐらだと伝えられています。
これを知った唐糸の娘万寿姫は信濃から鎌倉にやってきて、母と同じように頼朝につかえます。ある日鶴岡八幡宮の舞の踊り手に選ばれた今様の名手万寿姫は見事に舞い、頼朝から賞賛されて望みのものを訊かれます。そこで頼朝に事情を打ち明け、母唐糸の釈放を願った万寿姫の願いは聞き届けられ、母子は無事に故国に戻りましたとさ。めでたし、めでたし。
もうひとつの代表作は、その近くにある「日月やぐら」で、やぐらの内部の壁面に掘られた丸い穴を日輪に、二重に掘られた穴を月輪になぞらえた絶妙なネーミングがおしゃれです。丸い穴の上には天蓋が描かれ、下には蓮座が描かれているほかにはあまり例のない珍しいやぐらとして有名ですが、この一帯は横浜の不動産屋が開発目的で買い占めているために一般に開放されていないのが残念です。
以上「鎌倉ガイド協会」の資料等を参考に記しました。
♪隠れたってすぐ分かるぞヘイケボタル今宵も8匹見つけたり 茫洋
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