Thursday, June 11, 2009

ジョージ・マーシャル監督「砂塵」を視聴して

闇にまぎれて bowyow cine-archives vol. 4

マレーネ・ディートリッヒとジェームズ・スチュワート主演の西部劇映画を、FM放送でシューマン、CDでブラームスのリートを聞きながら見物しました。1939年アメリカ ジョー・パスターナク・プロ制作のモノクロ映画です。


原題は「DESTRY RIDES AGAIN」。直訳すれば「ディストリーが再び馬に乗る」。ディストリーは副保安官ジェームズ・スチュワートの名前です。父をならず者に殺された息子のディストリーが、悪の巣窟と化した、とある西部の町にギター片手に、馬に乗って丸腰で乗り込みます。そしていろいろあってのちに、とうとうその張本人ブライアン・ドンレヴィを倒して、町に平和を取り戻すという、きわめてありがちなデキレース西部劇です。

はじめは顔役の手下兼情婦であり、途中から副保安官に恋してしまい善人に戻る役が美貌美脚(でもよく見ると内側に湾曲してる)のマレーネ・ディートリッヒ。フレンチーという名前ですが、英語とドイツ語を足して2で割った歌を、ときどきウインクなぞしながら上手に歌って踊ります。私が大好きなB級というよりは超C級の娯楽作です。

お楽しみは悪女マレーネ・ディートリッヒと善女の酒場での大乱闘。仲裁に入ったジェームズ・スチュワート愛用のギターをめちゃめちゃに壊してしまいます。男どもの対決を町のおかみさんたちが徒党を組んでやっつけてしまうというフィナーレも印象的です。

ところでこの映画の邦題がどうして「砂塵」となっているのでしょう。名匠ニコラス・レイ監督の西部劇「大砂塵」のパクリかと思っていたら、その通りでもあり、その逆でもありました。
実は1954年に製作され、主人公ジョニー・ギターをスタンリー・ヘイドンが演じ、ジョーン・クロフォードとマーセデス・マッキャンブリッジの女性同士が決闘する「大砂塵」(原題も「ジョニー・ギター」)は、それ自体がこの「砂塵」のパクリ、というよりは巧妙な換骨奪胎作品だったのです。

それに気づいた誰かが、本作の日本語タイトルをあえて「砂塵」としたのでしょうが、さもありなん、とはたと膝を打った次第です。

♪大船駅のさびた線路のすぐ傍に昼顔の花咲きいたり 茫洋

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