Monday, June 29, 2009

西暦2009年茫洋水無月歌日記

♪ある晴れた日に 第59回


大船駅のさびた線路のすぐ傍に昼顔の花咲きいたり

余を馘首せし銀行屋を馘首せし銀行屋をまた馘首せんとする鳩山総務相

わが首を切りしバンカーの首を切りしそのバンカーの首を切らんとする人

隠れたってすぐ分かるぞヘイケボタル今宵も8匹見つけたり

今宵また謎の呪文をわれに告げ北斗の星と輝く蛍

おたまじゃくし1日1匹ずつ共食いすなり

毎日1匹ずつ食い殺して最後に残ったおたまじゃくし

あじきなしバーンスタインのハイドンを聴く日曜日

花も嵐も踏み越えて行きつくところまで歩むべし

玄関に片っぽうだけ転がっている妻の黒い靴

カラスアゲハが無心に太刀洗川の水を吸うておる

明治通り千駄ヶ谷小学校交差点の真紅の薔薇を撮影していたり秋山庄太郎

一生懸命ならどんな音楽でも許されるのかそこんとこよろしく

おりしも中里恒子の全集を耽読しおりき西麻布の売文家

ありがとうそしてさよならと言いつつわれら別れゆくなり

海を越え海に沈みし若者の瞳彩るジャガランダの花

南洋の桜といわれしジャカランダ桜に勝り毅然と咲きおり

わが腕を蟻が這う諦観とリリシズム捨てがたし

ミラノスカラ座より帰国せしや平成正宗後継者

親しめば親しむほど洞窟の謎は深まる

ひとたびは燃えつき果てた恋なれど43年目に燃え上がるかな

金の部屋大判小判を懐に金襴緞子でくたばりし奴

凶悪な政治の毒に窮したる二十歳の恋ははかなく散りて

万人の万人に対する戦いとく鎮めよと作家は祈る

半年間発注のない狂おしささくらば散りてあじさいの咲く

なにゆえに発注なきや半年間紫陽花の青をじっと眺むる

またしてもスイカの種は尽きにけり働き悪く金のなき日に

絶対の善や悪は存在せずわれらの輪廻は転生す 

腹黒き輩は腹黒き友を知る時政邸に鶯鳴きたり

大人にも本人にもよう分からん日本文学史書きたり高橋源一郎

当り前のことをとくとくと語る人なりき黒田恭一氏死す享年七十一

コラボとはナチ協力者のことなりコラボといわずコラボレーションと言え

七人の子供を残し巴里に住む恋しき夫に会いに行く女

谷川さんの下手くそな詩を読んでいると自分も書こうという気持ちが起こってくる


朋輩を皆喰い尽しておたま一匹

健ちゃんが帰ってくるようれぴいな


♪息継ぎのあわいに生まれる感傷を世に詩歌とは名付けたりける 茫洋

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