♪音楽千夜一夜第55回
毎度おなじみ超廉価のソニーBGMグループの全30枚組オムニバスを聴き終えました。
なんでメンデルちゃんなのかといいますと、今年は彼の生誕100周年にあたるのでこういう記念盤がぞろりと発売されるのです。有名な「イタリア」とか「スコットランド」のニックネームがついている交響曲はクルト・マズア指揮ゲバントハウス響の古式豊かな演奏で楽しめますが、ロイ・グッドマンが指揮してハノーバー・バンドが演奏している若書きの弦楽シンフォニーもとてもフレッシュで魅力的です。
意外にも?感銘を受けたのが、ヘンシェルカルテットが奏でる3枚組シリーズの弦楽四重奏曲集とこれまた3枚も収録されたオルガン曲たち。後者はさすがバッハの「マタイ受難曲」をバッハ時代以来はじめて蘇演したこの作曲家らしく、まるで生前のバッハもかくやと思われるほど生き写しの演奏にびっくりしました。これはスイスの古い教会のオルガンをステファン・ヨハネス・ブレイシャーが重厚かつ荘重に弾きこなしています。
私の大好きなエーリッヒ・ラインスドルフがボストン交響楽団を率いた「真夏の夜の夢の音楽」は、クレンペラーの名演には及ばないものの深沈たる夜の森の妖精たちを眼前させてくれる見事な演奏です。
今を去る四半世紀の昔の7月4日、純白の夏服に身を包んだ彼が指揮棒一閃、スーザの行進曲「星条旗を永遠なれ」をニューヨーク・フィルを立たせて颯爽と演奏した東京文化会館の夜を懐かしく思い出したことでした。
良家のぼんぼんとして何不自由なく健やかに成長し、ワーマール共和国のゲーテとも親交のあったメンデルスゾーンですが、わずか38歳で夭折します。そのせいか、彼のどの曲を聴いても永遠の若々しさが輝いているような気がしませんか。
♪愛国のマーチに胸は高鳴りて今宵さんざめくブラスの祭典 茫洋
♪あやしくも胸揺るがすは極彩の音高鳴るジンタブラスの咆哮 茫洋
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