Friday, May 04, 2012

マーチン・ブレスト監督の「セント・オブ・ウーマン」を見て



闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.238


これは米国陸軍を退役した盲目の元軍人とある若者との人情物語。アル・パチーノ扮するこの誇り高い軍人が自動車を猛スピードで運転したり、美女とダンスを踊るシーンは思わず感嘆してしまうのだが、よく考えると彼は単に盲人の役を演じているだけである。

実際は目を開けて実際に見ながら演技しているだけのことなのに、それでもハラハラドキドキするというのは、見ている私が生物学的に勝手にそういう枠を作っているからだろう。

画面の中でただ泣いたり喚いたりしているだけなのに、それを実際に起こっていることと勘違いする心的機構とは、考えてみれば不可思議かつ不条理なものだ。もっともこれあるからドラマの虚構が成立しているからだが、あまりにも無抵抗にその単純で幼稚な枠組みの中にからめとられてしまう自分を眺めていると、その愚かさと軽薄さに自分で自分が嫌になってしまうとともに、人間にその効果抜群の麻酔薬のような心的メカニズムを与えた神様に異議を唱えたくもなるのである。

なおこの映画のタイトルは、その軍人が盲目なのに匂いで美女を見分けたり香水の名を言い当てたりできる超能力?を所有していることに因っている。


ただ一軒日章旗を掲げてるさすがは十二所町内会長 蝶人


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