闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.245
私の付き合った非ユダヤ系のアメリカ人の多くは、どっちかというと率直で単純明快で
アホでハイテンションでそのノリについていくのが疲れてしまうが、どいつもこいつもひと癖ある陰険な仏蘭西人などと違って、おしなべてお人好しで好きだった。もちろん例外もあるけど。
この映画を見ているとおそらくフランク・キャプラも、(アホではないけど)そういうアメリカ人だったような気がする。
キャプラの代表作といえばこういうハリウッドの映画ではなくて、大戦中に国の支援を受けて大量に作った愛国映画だ。これらをつらつら眺めていると、連合国は正義の味方で「悪魔の鬼畜枢軸を滅ぼせ」という単純明快な彼の正義感というものがじつに良く分かるが、この作品でも彼の敵味方の黒白がはっきりした熱血漢ぶりが充分に伝わってくる。
1938年のハリウッド映画で、なぜか指名されて上院議員になって田舎から首都に出てきたボーイスカウトバンドリーダーのジェームズ・スチュアートがどんぴしゃりの配役。ワンシントンのリーンカーン像と対面して正義と真実の政治家になろうと決意するドンキホーテにいつしか惹かれてゆくのがジーン・ハリスンで、彼女の助けを借りて上院で繰り広げるエンドレススピーチが本作の最大の見所。
最後はお決まりのハッピーエンドになるのだが後味は悪くない。最後には正義は悪に勝つのだから。
梨の花が咲いたら重治の「梨の花」を読んでみよう 蝶人
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