Tuesday, May 24, 2011

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第39回

bowyow megalomania theater vol.1


公平君は「全員僕のまわりに集まれ」と鋭い声で命令を発して、たった一挺しかないピストルをバリケードの最前線のカシの木の上に、射的屋さんへ行った時にするように右ひじに乗せて、三三五五雨あられのように押し寄せてくる黒服の男たちの一人に狙いをつけました。

僕と洋子と文枝は恐怖でガタガタ震えながら、公平君の後ろで三人で抱き合って泣いていました。こわいおー、こわいおー、死んじゃうよー、と言いながら文枝はジャージャーおしっこを漏らしました。白いパンツがみるみる水浸しになってゆくのを、僕と洋子は息を呑んでみつめていました。

やがて、黒服に白い肩ひもを掛け、左手に警棒、右手に拳銃を握り締めた一〇名の特別攻撃隊が全速力でバリケードの正面に向かって駆け昇ってきました。

公平君は、それを見るとバリケードの上にすっくと立ち上がり、一番先頭のジャイアント馬場が僕たちからわずか三メートルの距離まで迫った時に、顔の真ん中めがけて引き金を引きました。


母親を救わんとして声掛ける娘の顔は険しく美しく 茫洋

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