Saturday, May 07, 2011

「田村隆一全集」第5巻を読んで

照る日曇る日第428回&ある晴れた日に第91回

鎌倉村の小学校の前に小さな文房具屋さんがあって、その隣には樹齢百年は優に越えた巨大なユリノキ、別名ハンテンボクがそびえているが、小学校の校庭の中にも大きな樹木がそびえていて当時この学校に通っていたうちの次男坊が毎日授業そっちのけでましらのようにてっぺんまでするすると登り、仏様が眠っている姿に見える衣張山を頭を真下にして眺めれば、ヤビジラミ、ヘビイチゴ、ホタリカズラ、ジゴクノカマノフタ、キツネノボタンの花々の上をキタテハ、アカタテハ、キチョウ、モンシロチョウ、ジャコウアゲハが乱れ飛ぶよ。

W・H・オーデンの顰に倣って隆一さんは善は悪を想像することができるが、悪は悪を想像することができないといわれるが、それなら私は、世界は日本を想像することができるが、日本は世界を想像することができない、仏教はキリスト教を想像することができるが、キリスト教は仏教を想像することができないといいたい。

鶯鳴き麝香揚羽舞う朝に没したり享年六十二 茫洋

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