鎌倉ちょっと不思議な物語第173回
やぐら巡りの最終回は、「東林寺跡やぐら」です。
私が愛読してやまない「鎌倉廃寺事典」は、「沙石集」の記述を引用して、泉の谷にある東林寺には塔と地蔵堂があったこと、そしてそれが守る人もなく頽廃していたことを伝えています。
また、お馴染みの「鎌倉志」には、このお寺は現存する浄光明寺の向かいにあって、その開山は浄光明寺と同じく真聖国師真阿であると伝えていますが、両寺ともに律宗のお寺として栄えていたようです。東林寺には足利尊氏の教書がありましたが現在では浄光明寺の宝物となっています。
いずれにしてもいまでは由緒ある東林寺は廃寺となり、その跡地は浄光明寺の墓地となってしまいましたが、往時の栄華のよすがを伝えるように貴重なやぐらが残っています。
そのひとつは船の舟底形天井のやぐらです。これは穴全体が住居の様相を呈しており、切妻造の屋根があり、奥壁には柱の跡や梁を渡した穴の跡が見られる立派なものです。
もうひとつはまるでアパートのように重層的な構造をもったやぐらです。1階と2階が数個の個室(龕)に分かれており他では見られない豪華で貴重なものです。
♪口笛吹くような「乙女の祈り」に変りたり4月1日鎌倉市清掃車 茫洋
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