Tuesday, April 21, 2009
既製服の台頭
ふぁっちょん幻論 第48回
昭和45年1970年ごろに米国からもたらされた、「人間工学に基づいたスーツの仕立て技術」。これがオーダーメイドを駆逐し既製服の時代を切りひらきました。
例えば故石津謙介氏が設立したVANのアイビールックは、米国式工業生産システムが生んだ胴をシェープしないボクシー(箱型)な直線的シルエットが特徴でした。そして当時はVAN、JUN、ACEなどの既製服ブランドが相次いでヤング世代のおしゃれ心をしっかりとつかみ、これが世代を超えた「注文服離れ」を惹き起こしたのです。
その一方では、前回にも述べたように欧州の洗練された高級既製服(プレタポルテスーツ)が日本に進出し、例えばピエール・カルダンのエッフェル塔のようなパゴットラインなる最新モードも登場。その他テッド・ラピドス、サンローラン、レノマなどのフランス製のメンズモードも躍進を遂げていました。
しかし昭和48年1973年の石油ショックがオーダーメイド業界にとどめを刺しました。その影響によって最盛期には10万人を数えたテーラー人口が、その4年後にはたった1万人に激減してしまったのです。
これをデータで見ると、わが国の1969年の既製服化率はおよそ45%でしたが、当時欧米のそれは95%の多きに達しており、日本のみならずメンズスーツのプレタポルテ化現象は全世界の先進国に及んでいたということが分かります。
ちなみに現在の大手服飾メーカーの生産仕様は、90年代に採用されたドイツ縫製メーカーの「M仕様」が主流であり、ここにも依然として欧米モデルに依拠するわが国メーカーのお得意パターンがひそかに生き延びていることが分かります。
♪かつてわが勤めし会社よ強欲の投資ファンドの餌食となりたり 茫洋
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