♪ある晴れた日に 第46回
ありがたやムラサキシジミの深き青
残し柿ひとつ残さず喰いにけり
亡き人の胸に塞がる菊の花
朝比奈の峠に斃れし土竜かな
生温し地震来るやうな風が吹く
きゃわゆいきゃわゆいとあほばか腐女子絶叫す
われかつて龍宝という名の上司に仕えたり
世を呪い人を恨みて満福寺
城破れ敗れ咲き遅れたる山椿
七曲り曲輪より射るおおかぶら
大船や大きな船がいま沈む
残金は3万円と息子いう
人生はうれしやかなしやどですかで
人の世はさはさりながら愛ありて
ん
さわに生りし
蒼き柚子の実
もぎ取れば
強かにわが指刺せり
その処女の実
屋根の上
アンテナ立て終えたる
2人連れ
風に吹かれて
煙草のみおる
降る雨の中
五人の職人が
家を
直している
夢の中で
眠りながら
星のやうに美しい歌を
うたっていた
窓を開ければ
くわんのんさまが見える
そんな部屋にて死にたい
と願いし老人
玉縄の
河の畔に巨樹茂り
猛き武将の
勲しとどめむ
今日TBSは死にました
と言いながら
TBSに出続けし人
死す
新橋の
ヘラルド映画の試写室で
よく顔合わせし人
昨日死にけり
熊野神社の参道で
ひたひたひたと
私をつけてくる
者がおる
労働に
捧げられたる献身を
さも尊しと
見做しおる我
いい歳したあほばか腐女子が
大口開けて
きゃわゆいきゃわゆい
と叫ぶなり
さあ働け、
働けば天国の門は開かれる
と
誰かがささやいている
いま聴きし
グラン・フィナーレが高鳴るよ
鎌響定期
マーラー5番
マーラーの
アダージェエット聞けば
われは蝶
海の彼方に
一人旅立つ
黄色い顔に白き嘴
ピラカンサ啄ばみて
ピーと鳴きし
細身の鳥の名をば知りたし
ジャンプ一番
ようやく掴みし烏瓜
ひとつはつまに
ひとつは吾子に
授業せねばならん
本読まねばならん
あほ原稿書かにゃならん
病院いかにゃならん
いったいどうせえちゅうんじゃ
我が庵に
いつしか住みける
矢守ありて
雨戸を閉めれば
キュウと泣きけり
井守と家守を
間違えし
五歳の吾子が
なつかしきかな
だって
いつだってあえるじゃない
といいながら
死んじまった
市ヶ谷の
タヌキ屋敷を訪ぬれば
帝国軍人
健在なりき
枚方の
厚物咲きの菊人形
曽我兄弟が祐経討てり
丹波なる
綾部の街の由良川の
ほとりに咲きし
大輪の菊
ト短調
モーツアルトが
泣きながら
歌っている
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