鎌倉ちょっと不思議な物語149
腰越は鎌倉の空虚なにぎわいからきっぱりと遠ざかり、山と川と海のすぐそばにへばりついた漁村であるが、時折潮風に吹かれて江ノ電が通りの真ん中を勢いよく走るとき、なにやら嬉しそうな表情を浮かべるのである。
ここには昭和の初期に昔肺浸潤を患った山本周五郎が療養を兼ねて住んでいて、商店街のまんなかへんにある「いずみや」という西洋料理屋でハムエッグやらハンバーグだのを生まれてはじめて口にしたそうだ。
私たちは「いずみや」の旧跡あたりで生イワシを15匹500円で買い、その近くの一〇銭飯屋でとれたての生シラスの丼を頂いてその日の午餐としたのであった。
♪ありがたやムラサキシジミの深き青 茫洋
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