Friday, September 05, 2008

丹波と能楽

続 梅原猛・松岡心平著「神仏のしづめ」を読んで

照る日曇る日第156回

梅若は現在は観世流れのシテ方であるが、もともとは丹波猿楽の一流であった。丹波の殿田には梅若屋敷跡があり、墓とともに殿田稲荷が祀られている。ただその本貫地は京都市右京区の梅津で、梅若の名はここから出たという。それで梅若姓の元は梅津であり、梅津氏は橘諸兄を祖とし、諸兄の9世の孫、橘友時より梅若を名乗るようになった。

この友時のとき、丹波の何鹿郡大志麻の庄を領したために丹波に居を移した。すなわち綾部市の大島で、著者の故地でもある。ちなみに「弱法師」の原話「しんとく丸」伝承は、梅津長者が父なる人であった。

梅若の丹波におけるもっとも古い根拠地は綾部市舘町の赤国神社を氏神とする地域だとされるが、残念ながら私はまだ訪ねたことがない。

いずれにしても丹波という地は能の歴史の中で大きな比重を占める。観世流のシテ方である片山家、大槻家、河村家も丹波の出である。

以上本書256pより引用しました。

♪道端に栗がひとつ落ちていた
誰も見ていなかったので
拾って帰った 茫洋

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