Wednesday, February 06, 2008

冬の自画像

♪バガテルop39&鎌倉ちょっと不思議な物語98回

駅前を歩いていたら裏駅と表駅を結ぶ地下道に市内の中学生の自画像が張り出してあった。

精密なモノクロームの描線が写実的でいずれも巧みなクロッキーであるが、全体の印象がどことなく暗く、陰鬱であることが気になった。

それは思わずぎょっとするほど不吉ですらあった。個々の作品をよく見るといろいろな違いが見えてくるけれど、遠くから眺めた印象では十人一律で、あえて言うなら手法と切り口を含めて無個性なのである。

間違いであってほしいが、この暗さと空虚さと類似性が若い彼らのいまを象徴している、と私は思った。そしてそこに垣間見られるものは、未来への大いなる不安とあらかじめ用意された絶望ではないだろうか。十五にして心はすでに老人のように朽ち、孤独に立ちすくむ若く孤独な魂たちを想像して、同じ心根の私は冬空の下でぶるぶると震えた。

私(たち)は死んでも希望だけは手放してはならない。 

♪梅千本一輪だけが咲いており 亡羊

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