♪バガテルop43
自閉症が「病気」や「性格」ではなく生まれながらの「脳の障害」であることは、近年になって世間から少しずつ理解されてきたようです。30年前の神奈川県立こども医療センターのように、「親の育て方に原因がある「母原病」です!」と私たちの目の前で担当医が決め付けたり、砂糖の摂取に原因がある砂糖病であるなどという馬鹿げた診断をする医者はなくなりましたが、相変わらず「引きこもり」や統合失調症における「自閉」と誤解したりする人はあとを絶ちません。
まず自閉症は生まれついての先天的な障碍で、中枢神経系(つまり脳と脊髄ですね)のどこかの障碍が原因と考えられています。以下の3つが大事なポイントです。
1) 自閉症は内気とか自閉的とか人間嫌いなどの「性格的」なものとは無関係です。
2) 自閉症は病気ではなく、生まれつきの障碍です。
3) 自閉症は人によってその現われ方に違いがあるので厄介です。
自閉症は風邪のように一時的な治療で治る病気ではなく、また親や周囲の愛情が不足してなるような「心の病気」でもありません。これはよくマスコミなども誤解しているようですね。多くの自閉症児者はまったく自閉的ではなく、むしろ外観は元気はつらつとしていることが多いのです。
しかし世間がそういう「根暗の閉じこもり人間」が自閉症であるというレッテルを貼るようになった原因のひとつは、この「自閉症」というネーミング自体にもあったようです。日本自閉症協会の機関紙名は現在は「いとしご」ですが、長い間「心を開く」という誤解を招きがちなタイトルでした。これでは自閉症が脳の障碍ではなくて精神や心の障碍であるとご本尊が宣言しているようなものですからね。
それはともかく自閉症の原因は、「中枢神経系(脳、脊髄)が生まれつきうまくはたらかないことにある」と学者の意見はようやく一致しました。しかしではその根本的な治療法は?というとそんな素晴らしいものはまだ世界中どこにも存在していません。
最近は脳や遺伝子研究が進んでいるので、その伸展に期待するほかなさそうです。
♪花もまた花の悩みがありぬべし静かに耐えてただ春を待つ 亡羊
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