Thursday, February 28, 2008

2008年亡羊如月詩歌集

♪ある晴れた日に その22

雪深しわれは昭和の子供なり 

立春哉窓一面乃銀世界
 
ギョウザより大事な問題があると思いつつ中国製の餃子を喰らう

ぴらかんさ千両の順に食われけり

その日の午後西郷どんの首の如き橄欖樹の枝を斬った

生きておっても死んでおっても空の空なり

詩歌については論じるなかれ朝な夕なにただ詠めばいいのだ

如月も十日を過ぎて仕事なし

そこはかとなく薫り洩れ来し艶人の その衣擦れの音 溜息の歌

またひとひ無事生き長らえたり1億2600万分の1の小さき生を

25年お世話になりしステンレスの浴槽よさらばさらばと別れ行くかな

古いお風呂よさようならお払い箱になるんだねと耕君がいう

30年家族暖めし風呂なればこぼつは惜ししもったいなし

25年お世話になりし浴槽よさらばさらばと別れ行くかな

亡くなった父も母もムクも入りしこの湯船

白々と骨が残りしバスルーム美人モデルはスープとなりぬ

青山の3LDKの浴槽にトップモデルは骨だけ残せり

けふもまた何事も無く日が暮れた家族で囲む水炊きの湯気

家族3人で水炊きを食べるほど幸せなことはない

私には何がなんだか分からない確定申告できる人は偉大なり

まぎれもない獣の臭いが好きだった丘の上にて尾振りし汝(なれ)の

春風に吹かれて一声吠えるムク

丘に立ち一声吠えしうちのムク

如月も半ばを過ぎて仕事なし 

無残やな地べたに倒れし墓石ありげに凄まじき鬼の仕業よ

花もまた花の悩みがありぬべし静かに耐えてただ春を待つ 

1000本の時計を持てるちょい悪ジローラモその強欲をひそかに憎む

1000本の時計が自慢のちょい悪ジローラモわれは1本千円を愛す

小浜氏が勝ち栗を剥く冬の朝 

全山の緑を剥がしてことごとく墓に変えしは堤義明

いち早くその白き墓購いて父叔父葬りし我ら一族

堤氏が山を毀ちて築きたる墓に眠れる義父と叔父かも

梅千本ただ一輪が咲いており
 
全山鳴動梅一輪ひらく 

蝶々が舞うように歌いたりフィオレンツア・コソットの不可思議な「君が代」

老残のグレース・バンブレー出ぬ声で懸命にシャウトせり黒人霊歌

篤姫を見てもフルスイングを見てもすぐに涙出るこの安物の私の眼球

セサミンを飲んだか飲まぬか忘れてしまうこの安物の私の脳髄

大便の残り香さえも愛おしと思える者こそ家族というべし

できれば目白のように睦みあいたいものじゃ

私には何がなんだか分からない確定申告を一人でできる人は偉大なり

如月の果ての果てにて舞い降りし鶴の一声受けるうれしさ 

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