Thursday, October 25, 2012

リティー・バニュ監督の「さすらう者たちの地」を見て





闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.333


これは2001年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞を受賞したフランス映画である。ロンノル政権時代の苦難とその後のポルポト政権による大虐殺に耐えて生き延びたカンボジアの民衆が、全土に敷かれることになった高速光ファイバー工事で露命をつなぐ極限状況をルポルタージュしている。

道端に穴を開けそこにケーブルを通すのだが、岩だらけの地面を掘り進んでいくと突如毒蛇が現れたり戦争中に埋められた地雷や爆弾が出てきたりする。命懸けの仕事を女子供も手伝って朝から晩までやっている。

工事を請け負っているのはおおむね悪徳ブローカーで、彼らに搾取される細民にはなけなしの賃金しか与えられず、貯金も明日の食料も夢も希望すらない。怪我をしても病院にすら行けない極貧生活を強いられている彼らにどんな励ましの言葉を言えようか。

キャメラはそんな悲惨な彼らに寄り添うようにして、そのありのまあの姿を全世界に伝えようとしている。


弁護士なんて三百代言金の為なら嘘八百 蝶人

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