Wednesday, October 03, 2012

トニー・ゴールドウイン監督の「オーバー・ザ・ムーン」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.322

ダスティンホフマン製作のサンダンス映画でダイアン・レインがヒロインである。原題は「 A Walk on the Moon 」なのだが妙な邦題をつけたものだ。

 ダイアン・レインとかグレタ・スカッキはプロの俳優のくせにどこかアマチュアというか普通の女性のおももちや風情をいつまでも漂わせていて、その中途半端な曖昧さが私たちを魅了し、かつやきもきさせるのである。

 本作でダイアン選手は旦那への不満と性的欲望に悩む若き人妻をやきもきと熱演、夏のリゾート地にやって来たブラウス売りのヒッピーに惚れて浮気し、なんと近所で開催されたウッドストックになだれこむ。

母親に内緒でボーイフレンドと出掛けた16,7の娘が、10代のギャルのように「弾ける」(この厭らしい手あかにまみれた決まり文句を、一度だけ使ってみたかった!)
ヤンママ、ダイアン選手を偶然目撃して、たまげて蹌踉と帰宅するシーンがいちばん面白かった。

1969年現在の不穏な社会情勢のなかで、日常からの逸脱を夢見るだけでなく、実践しようか、いややめようかと小さな胸を痛めるそのあえかなおののきが、画面からじかに伝わって来る切ない人世映画である。

ここで飛べ1969ウッドストック 飛んだ奴らはどこへ行ったか? 蝶人



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