Wednesday, January 23, 2008

ある丹波の女性の物語 第44回 喜寿

遥かな昔、遠い所で第66回

 夫もボツボツ休みながら、仕事も出来るようになり、34年の問屋の招待旅行には、私に姉の絢ちゃんと2人で行くようにすすめてくれ、出雲大社への旅行に出かけた。
2月末なのにとてもあたたかくて、皆生温泉では私達姉妹には浜辺の離れをあてがわれ、松籟や潮騒の音をききながら、生まれて初めて、2人きりの夜を色々と話し合った。

 36年5月5日には、みんな元気で、父の喜寿を祝う事が出来た。

 父の甥や姪など大勢を招いて、由良川沿いの小高い山にある料亭で宴を開いた。庭には藤の花房もたれ、さつきも満開、由良川の小波も陽にかがやいて美しく、父も大満足で、鼓を打ち、謡をうたった。みんなも心から父の喜寿を祝った。

 夫は発病後、煙草も、好きな囲碁の夜ふかしも止め、毎朝ジョギングを始め、発病前より以上の元気を回復した。
 父も、もっぱら教会の事、ギデオンの事に一生懸命で、高校や、病院などの聖書贈呈にいそしんだ。


級会(クラスかい) 不参加ときめて こぞをちとしの
 アルバムくりぬ 友の顔かほ        「をちとし」は一昨年の意

萌えいづる 小さきいのち いとほしく
 同じ野草の 小鉢ふえゆく


藤山を めぐりて登る 桜道
 ふかきみどりに つつまれて消ゆ

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