07年8月亡羊歌集
♪ある晴れた日に その10
交わりのその頂きで轢死せるミンミン蝉を蟻共喰らう
麦藁帽脱ぎて初めて挨拶すそっぽ向きおりし住職とわれ
夏空の奥の奥まで舞い上がる雌雄の蝶の行方知らずも
わが下肢の股の隙より洩れ出ずる悪しき臭いよ真夏の午後よ
昼も夜もなめくじのごとくゆるやかに世界の果てまで歩ましめよ
躊躇なくゴキブリ殺せし我が足よではなにゆえにコオロギを踏まぬ
働いたってそんなにいいことなんかないぞでもまあ働くんだな君
満月の逗子の海にてはぜる火よ光は見えず音のみを聴く
ニイニイアブラミンミンカナカナ麦稈真田の夏は過ぎ行く
祈れども息子のことは仕方なし
残尿の朝まで続く残暑かな
ミンミンもカナカナも鳴く午前5時
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