Friday, November 04, 2011

鎌倉国宝館で「鎌倉×密教」展を見る


茫洋物見遊山記第66回&鎌倉ちょっと不思議な物語第246

秋風薫る八幡宮の傍らにある国宝館で「秘仏光臨」「鎌倉ゆかりの密教尊像が一堂に集結」と銘打たれた特別展に行ってきました。

どうでもよいことですが、最近は大小を問わず展覧会のタイトルやキャッチフレーズにプロの宣伝マンを起用してああだこうだとカッコを付けていますが、往々にして実態とかけ離れたこけおどしの惹句であり羊頭狗肉そのものです。映画のアホ馬鹿宣伝の悪い影響が芸術美術の世界にまで及んできたようで寒心に堪えません。

さて今回の「鎌倉×密教」展における発見は鎌倉新仏教における密教の怪しい浸透ぶりで、たとえば寿福寺を創始した臨済宗の開祖栄西や浄妙寺を興した同じく臨済宗の退耕行勇は禅宗の僧侶であると同時に密教の徒でもありました。鎌倉新仏教の推進者の大半が密教の熱心な信奉者でもあったということはそれが否定的な媒介として作用したにせよ改めて注目しておく必要があると思われます。

会場には私にはあんまり興味のないまんちゃらかんちゃら曼荼羅の薄汚れた図像がどっさりぶら下がっておりましたが、それよりも2つの木造坐像が私の耳目をとらまえました。一つはしどけなく優美な姿態が印象的な来迎寺の「如意輪観音菩薩坐像」でこれは性的な風紀が乱れに乱れた南北朝の製作ですからここまでセクスイーであることが許されたのでしょう。

もう一つは象の頭と人間の身体を持つ異様な2体が抱擁するように向かい合って立つ「歓喜天像」です。見るからに奇怪なやはり南北朝のこの立像は敵に呪いをかけるための秘仏だそうですが、それ以上に異常なまでの性的なメッセージを会場全体に強烈に発散しているようでした。おお見るだけで目が瞑れそう。怖や怖や。

なお本展は来る11月27日まで当地で開催されています。

せっかく料理をお勉強したいと思っているのに細かいことをグチャグチャいわないでよ 蝶人

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