Tuesday, November 01, 2011

リチャード・ブルックス監督の「熱いトタン屋根の猫」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.164

まるで熱いトタン屋根の上の猫のようにおのれの性欲を向こう三軒両隣に発散しているエリザベス・テイラーは耀くように美しい。

猫どころか荒野を疾走するピューマのように自分の欲望をまっしぐらに貫こうとする動物的生命の燃焼と躍動の光波は、人生に拗ねているポール・ニューマンのみならず見る者すべてを圧倒する。

これとは対照的に、親友を自殺に追いやったのは自分だと自責の念に駆られ、自棄自暴に陥りアルコール漬けの退嬰的な生活を送っているホッモセクシュアルのポール・ニューマンの悲惨な姿は映画とはいえ真に迫っている。

そして死病の告知を受けながらもそんな息子と正面から向き合い、彼の複雑に入り組んだ精神の暗闇にともに侵入してついにコンプレックスを紐解き、父親としての責務を果たそうとするバール・アイヴスの熱演は、「大いなる西部」で名演技をしのいで素晴らしい。

最後の終わりよければすべてよしというハッピーエンドは強引にとってつけた感があるが、それでもテネシー・ウイリアムズ原作のこの映画は、一匹の熱いトタン屋根の雌猫が、恋する雄猫の同性愛をほんの一瞬でも異性愛に転換させ、彼女の思惑通りに晴れてベッドインするという大人の幸福な寓話たりえて見事である。

雅子妃よ愛児を連れて実家へ戻れ諸悪の根源は天皇制にあり 蝶人

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