Tuesday, June 14, 2011

Charles Munch Conducts Romantic Masterworkを聴いて


♪音楽千夜一夜 206

シャルル・ミンシュは昔からとても好きな指揮者だったが、最近の無能な指揮者の大洪水の中で、さらにその値打ちと有難味が増してきた。

私が宝物のように大事にしているのは、1998年に仏AUVIDISから印刻されたフランス国立管弦楽団との9枚組のライヴ録音で、ここに納められたベートーヴェンやブラームス、シューマン、そしてドビュッシーやフランク、ルーセル、オネゲルなどフランスの御国ものの超絶的な凄演は、かのパリ管創成直後のブラームスやベルリオーズの名演奏をさらに引き離す空前絶後のエラン・ヴィタールを発散しており、年に1度聴くだけで命の甦りを感じるほど霊験あらたかなものがある。

しかし最近ははりソニーから1枚273円で叩き売られたこの8枚組も、録音が更新されたためか、非常に力動感が増し、他の凡百の指揮者に持ち合わせがない彼の音楽的野生が存分に発揮されている。

従来から定評のあるメンデルスゾーン、ブラームスも良かったが、今回聴き直してシューベルトの最後の交響曲が図抜けて素晴らしかった。手兵のボストン響の弦と管の黄金の輝きを、後任のラインスドルフ、スタインバーグ、小澤征爾が寄ってたかって台なしにしてしまったっことが、つくづく悔やまれてならない。

ボストン響を聴くなら、やはりクーセヴィツスキー、モントゥー、そしてミュンシュである。

あれほどの被害を蒙ったのにどうして原発を止めたくないのかまるで理解できない 茫洋

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