Thursday, February 24, 2011

チャード・シッケル監督の「クリント・イーストウッドの真実」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.100

2010年にクリント・イーストウッドへのインタビューを軸としてビデオ収録されたスマートな作品回顧録。ローハイドの時代からダーティハリー、許されざる者、硫黄島、グラントリノ、09年のインビクタスまで、制作当時のエピソードを交えてリチャード・シッケルが要領よく編集している。インタビュアーはモーガン・フリーマン。

イーストウッドはゴダールと同い年の1930年生まれの老人だが当節101歳で「ブロンド少女は過激に美しく」を撮ったばかりのマノエル・デ・オリヴェイラ監督をみならってこれからもが、意欲的な新作を世に贈ってほしいものである。

番組の最後でイーストウッドは、彼がずっと住み続けている西海岸の小さな村カーメルを称え、ここが彼の活動の魂の根拠地であること告白する。太平洋の波が緑の丘陵に静かに打ち寄せるこのリゾートは、一目見ただけで彼ならずとも「ここに住みたい」と思わせるに足る風光明媚の地である。

一方、喧噪のパリから退去したゴダールが立てこもっているのは、スイスの片田舎ロールで、世間から取り残されたようなこの地ののどかさも忘れ難い。いずれも老いてなおひたすら前人未到の創造の世界に挑むシネアストにふさわしい隠れ家である。

母親を69歳で喪いし自閉症青年が歌う「神ともにいまして」 茫洋

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