♪ある晴れた日に 第85回
口を「あ」の形にして死んでいった少年
その少年に僕はムクをひどいめにあわせやがってと怒鳴った
もう生きていても仕方がないのと母親が言う
エイハブの胸に迫りし白き牙明日はわれらの胸にも迫る
現代より古代が優れるもの多し文化文明人間思想
国境の彼方に二人を引き裂いて今年の夏もひまわりが咲く
くそったれ2カ月も発注がなければ自由業は干上がっちまうよ
豚食えば吐き気すこれ飽食の原罪ならむ
僕らは思惟のみ役立たずの脳無し能無しに生きる■蟻や梨や
いたつきのために売られし司馬江漢遠近画法の海の絵いずこ
三人の鼾は全然違う
アイーダを視聴しておるのに「震度3」
ハイドンの「五度」聴き終えて春の雪
ヤマガラとメジロとシジュウカラが一度に訪れし我が庭よ
人間なのに尻尾が出たと騒ぎしが尻から出たる回虫なりき
茅ヶ崎の教会堂に響き渡る母喪いし青年の大きな泣声
母親を六九歳で喪いし自閉症青年が歌う「神共にいまして」
無能無知無価値な子の尊さわれのみぞ知る
ビデオ捨てLD捨ててDⅤDも捨て同じ映画をBDで録る
小泉福田安倍麻生鳩山菅出てくる奴は皆皆悪い
欧米で流行っていればなにごともパクリとぱくってお手柄にする
可笑しくもないのに笑うひとよと言いし女を訳も無く憎む
平然とシルバー席につく若者をふと殺したくなる冬の朝かな
立ったままジャパンタイムズを読んでいる京急バス内のインド人
スギタニルリシジミのスギタニ氏とはいかなるひとならむ
卒塔婆一本先祖代々癌の家
佐々木眞午後六時也薄陽差 茫洋
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