闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.97
1964年に名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が映画化した「イタリア式結婚」という原題の映画です。誰と誰が結婚するかというと、ナポリの娼婦ソフィア・ローレンが超色男のマストロヤンニと結婚するのです。
どこがイタリア式かというと、次々に新しい女に手を出すマストロヤンニに頭に来たローレンが危篤状態に陥ったふりをして「一生のお願いだから死ぬ前に結婚式を挙げて」と拝み倒してまんまと挙式してしまうところがたぶんイタリア式なのでせう。
死んだはずのお富がいきなり甦ったので与三郎は逆上しますが、お富さんはひそかに3人の息子を養育していた。そのうちの1人はマストロヤンニの子供であるとかないとかほのめかすので、与三郎はお富を亡き者にしようとさへ思ったのですが、てんでできなくなってしまいます。
「やい、てめえ、おラッチの息子はどれなんだ。いいかげんにおせえろ。おせえないとひどいめに遭わせるからな」
などとすごんで地べたでもみ合っているうちに、ふぃと眼に入ったお富の白い肌と朱色の艶な唇。ひっぱたくはずの手のひらがつい乳房と背中にまわされてぐるぐる回る草の上。何十年振りかの熱い抱擁に再び燃え上がった青春の熱き血潮と吹きあげる劣情の嵐……
その翌日、2人はもういちど第二の、そして本当の結婚式を挙げるのでした。映画は初めてマストロヤンニを「パパ」と呼んだ息子の言葉にどんな苦しい日にも流すことのなかった一掬の涙をこぼすローレンの姿でおわります。メデタシ、メデタシ。
その少年に僕はムクをひどいめにあわせやがってと怒鳴った 茫洋
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