Sunday, January 16, 2011

マルコ・ヴィカリオ監督の「黄金の七人」をみて

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.73

ドンナ監督だかいっこうに知らないが、ともかくおそろしく凡庸な監督が作った超くだらない銀行泥棒のサスペンス映画であるが、スリルもサスペンスも全然ない。見るだけ時間の無駄だし、げんに私もこの下らない正編の続編も途中で放り投げた次第であるが、それでも録画を消すまいかと迷ったのは、ロッサナ・ボデスタが出ている映画だからである。

ロッサナ・ポデスタはどこがいいかというと、まず名前が、語呂がいい。第二に顔がキュートで、姿態が悩ましい。第三は第二の繰り返しになる。この映画の登場人物が「彼女を見ているとムラムラしてくるね」というのであるが、じっさいそういう気分になってくる珍しい女優さんなのである。ゴダールの「軽蔑」に出てくるBBもスケベーだが、こっちのほうがもっと淫蕩であろう。

 いちおう銀行泥棒の仲間なのであるが、仕事らしい仕事はせずに主犯格の教授の情婦兼秘書といった役どころで、昼かまらパンテイもはかずに毛皮のコートをまとったり、すけすけの網タイツでソファーの上をごろごろ転げ回っていたりする。おまけに熱愛していたはずの博士を平気で裏切ったくせに、金塊が自分のものにならないと知ると再び手のひらを返して教授の元に擦りよってくる。じつに猫のように妖しい存在なのである。

 これほど中身が寒い映画が、世界的に大ヒットした理由はポデスタいがいにかんがえられない。思うに本作は、1965年にイタリアから飛び出した、初期ポルノ映画の草分けではないだろうか。そして真昼間にパンゲーィひとつはかないでキッチンをうろうろする主婦の素敵なライフスタイルは平成の御代の皇国にも連綿と伝えられ、それらは村上春樹のエッセイに活写されている。


 パンテイは別になくても構わないわさよならモンテイパンテイ 茫洋

一〇年代の女優にはムラムラしないのに六〇年代の女優にムラムラ 茫洋

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