♪音楽千夜一夜 第136夜
ともかく早くレーザーディスクをDⅤDに焼いておかないと2012年のデジタル態勢に乗り遅れてしまうので、数百枚あるLDを見直しながらダビングせざるを得ない消耗な毎日です。という次第でバーンスタイン、ウイーン、マーラーの70年代の黄金コンビの演奏ですが、さすがにこういう血と汗と涙の熱演タイプは時代遅れになったのかなあというのが率直な感想です。
1番ニ長調「巨人」ではもっと第4楽章で燃えてほしいのに1974年10月のバーンスタインがいくら指揮台からジャンプしても発火せず。コンサートマターがゲルハルト・ヘッツエルではなく若く凡庸なライナー・キュッヒルであることもマイナスに作用しているのでしょうが、これでは大昔のジェームス・レバイン指揮フィラデルフィア管の清新な演奏に比べてもかなり遜色があります。
ヘッツエルがコンマスに入った1972年5月ライブの第4番ト長調は最終楽章でソプラノのエディト・マチスの清純な独唱「我らは天上の喜びを味わう」が歌われるといくぶんの昂揚を見せますが、私が1979年パリ・シャトレ座で聴いたクーベリック指揮バイエルン放響の天国的で透明な演奏には及びもつかない凡演です。
1972年4月と5月にライブ収録された第5番嬰ハ短調は、有名な第4楽章のアダージェットで深い瞑想と愛と抒情の歌を聴かせてくれるものの、強いて比較すればバーンスタインのニューヨークフィルとの旧録、あるいは1987年の同じウイーンフィルとの録音のほうがより優れた演奏ではないかと思われます。
1974年10月の交響曲第7番ホ短調ではバーンスタイン・ウイーンフィルが「夜の歌」を歌います。第5楽章のロンド・フィナーレはいかにもレニーらしさが横溢しており、今日の3曲のなかではこれが最上と思えます。
生きてしあらば良きこともあらむ薺咲く 茫洋
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