Thursday, February 18, 2010

帝国海軍の夢の跡 横須賀ところどころ第10回

茫洋物見遊山記第14回

横須賀は旧帝国海軍ゆかりの軍港で、港の公園の一郭には大戦で会没した軍人の慰霊塔や軍艦山城、長門、沖島などの鎮魂碑が、訪れる人もなく建ち並んでいます。

巨大な舟形をした大理石に刻まれた「国威顕彰」のスローガンを眺めていると、身も心も冷たくなってきたので、その場を立ち去ろうとしましたら、

原始海は生命の故郷であった
その海に果て、その海に眠る
戦友たちの御霊やすかれといのちながらえしものあい集い
再びいくさあらすなとねがうものなり

と書かれたひとつの墓碑銘が目に留まりました。

そのあとに続けて

浮雲一片流北辰
何人不起望郷情
有時霊魂亦環家
夜半南星漂蒼海

という七言絶句も書かれていました。井伏鱒二風に、

北極星に雲がかかれば
みんな故郷に帰りたい
いつかは君もお家に帰る
青い海からお星さまになって

といういい加減なほんやくで、いかがなものでしょうか。


♪冠詞がない日本語には思想がない 茫洋

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