茫洋物見遊山記第9回
横須賀のどぶ板商店街のちょうど真ん中あたりに赤い門で囲われた岩屋のような一角があります。
この奥に安置されている延命地蔵尊は、昔から参拝者が絶えない、霊験あらたかな地蔵尊として知られています。いつ通っても、線香の香りが漂っています。若い人たちの姿も目立つドブ板通りに、ひときわ異彩を放つ延命地蔵尊ですが、あまり人に知られていない歴史がありました。
昔の文献によると、このあたり一帯は海に突き出した険しい地形で、交通路といえばわずかに山裾をぬって造られた細い道だけだったようです。そこでこの付近に下町と結ぶ素掘りのトンネルを造ったところ、このトンネルが不完全だったことから、出水や地震などによってたびたび落盤事故を起こし、多くのけが人がでました。そこでこのあたりの有志の方々の発願によってトンネルの入り口にあたる場所に地蔵を祭り、通行の安全祈念することになったといいます。
明治の中ごろまでは、この付近を洞ノ口あるいは堂ノ口と呼んでいたので、この地蔵は当初は「洞ノ口地蔵」と称されていましたが、この地蔵尊の霊験あらたかなことが、いつしか近郷近在の人々に広まって、年を経るごとに信仰する人が多くなっていきました。
そして、その祈願の内容も、家内安全から商売繁盛に広がり、さらに明治、大正、昭和と時代を新たにするごとに、入学祈願の信仰の対象にもなってきました。やがてこの洞ノ口地蔵を信仰すると長生きできるという神話も生まれ、いつのころからか「延命地蔵尊」と呼ぶようになったといわれます。
以上「横須賀どぶ板商店街」のHPからの情報でした。
♪横須賀やヤンキーも詣でる地蔵尊 茫洋
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