Sunday, August 26, 2007

ある丹波の老人の話(46)

第8話 思い出話

1928年(昭和三年)、世界日曜学校大会に出席した私は、当時のアメリカ各地を漫遊していろいろ珍しいものを見物しました。

バークレー市のカリフォルニア大学では電子顕微鏡を見せてもらい、さらにはトーキーも実際に見ることができました。

その頃の日本にはまだトーキーはなく、動く写真、つまり活動写真しかなかったんです。これをつぶさに見物した私は、世の中にはまだ人間の智恵では計り知れない不思議があることを知りました。

そうして今まで聖書にある奇跡というものを信じることができなんだ私ですが、この電子の不可思議を目にしてマリアの懐胎も、5つのパンと2匹の魚とが5千人の空腹を満たしたこと、さらには水上を歩み給いしイエス、波風をしずめたもうたイエスなど数々の奇跡も必ずしもありえないことではないと信ずるようになったんでした。

それからウイルソン山上の天文台で世界最大の直径100インチの大望遠鏡で夜の木星を見せてもらった私は、今更ながら宇宙の大なることを知り、この宇宙を創造し給いし神の力に驚き、いっそう敬虔の念を深くしたことでした。

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