闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.59
昨日の「ある結婚の風景」の2003年製作の続編です。
それぞれ60代と80代に達したマリアン(リブ・ウルマン)とユーハン(エルランド・ヨセフソン)がユーハンの別荘で久しぶりに再会。そこで繰り広げられる新たな血族の葛藤をスエーデンが生んだ希代の名監督が衰えを知らぬ熱意と卓越した映画技法で描いています。
ユーハンの息子ヘンリックと一人娘カーリンの葛藤、音楽家をめざす娘の父親からの自立をマリアンとユーハンがやきもきしながら見守る形で物語が進行していくのですが、音楽の扱いが見事です。
「ある結婚の風景」ではまったく劇中音楽を使わなかったベルイマンでしたが、本作ではヘンリクが森の中の教会で演奏するバッハのトリオソナタのオルガン演奏、息子を愛せないユーハンが聴き入るブルクナーの第9番シンフォニーの咆哮、そして父との別れでカーリンが奏でるバッハの無伴奏チェロソナタ第5番のサラバンドが絶妙な劇的効果をあげています。
父と涙ながらに決別し、祖父が用意した道をも蹴って自力でクラウディオ・アバドとの共演をかちとり、チェリストへの道を歩む若き美少女カーリンに当時85歳の老監督が次代への希望を託した遺言であり祈りでもあるような映画です。
ゆいいつの欠点は、最新のデジタル技法を駆使して撮影したにもかかわらず照明が不安定で、あらゆる画面で明暗が不自然に点滅されることです。
ロシアといえばイワンの馬鹿を思うロシアの馬鹿 茫洋
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