Saturday, April 19, 2008

職人気質

♪バガテルop54
しばらく前にキッチンを修理し、去年は自宅の北側の壁が腐りかけていたのでトイレと一緒に修理し、やれやれこれで終わりかと乏しくなった財布の底をながめてため息をつきながらもほっとしていたら、今度は便所の隣の浴室のねだが腐っていることが判明したので、善は急げ?とばかりにほとんどやけくそになって今年の冬にリフォームした。

おかげで最新式の浴槽が導入され、洗面所の採光も改善され、それなりに平成モダンライフ?の快適さをエンジョイすることができると一安心したんのもつかの間、またしても2階二回の天井裏に葡萄状連鎖状球菌ならぬ白色腐朽菌というのが繁殖していることが判明、いずれは屋根のてっぺえんを切開して修理する必要が生じた。

まったくいつまで続くぬかるみぞ、といったところだが、それはともかくとして私が再認識したのはわが国の大工さんやペンキ屋さんや経師屋さんや電気屋さんやその他もろもろの職人さんの腕の冴え、技術の素晴らしさである。

古くて狭くて具合の悪いところをいとこたやすくすいすいと直してしまう。もちろんそれがプロの職人芸と言ってしまえば実も蓋もないが、それはおそらくわが国の昔からの良き伝統であり、民族の身体性に付与された特性であり、諸外国の職人さんと比べても抜群の器用さであるに違いない。

彼らは朝から働き、10時に小休止し、正午に昼食をとって車の中などで午睡し、1時から3時まで働いてまた一休みして夕方まで働き続けるのだが、傍から見ているとこれが一日の労働に最も適した時間割であるということが良く分かる。

単調で過酷な労働であるからおやつに甘いものを出すと喜んでみな食べてくれる。しかし「トイレをどうぞ自由に使ってください」と勧めても、固辞してほとんど用を足さない職人が多いのは、古来そういうしつけをされてきたからであろうか。

いずれにしても非常に不器用でなにひとつ修理できない私にとっては、日本のホモ・ファーベルのありがたさ、素晴らしさを見せつけられたあほばかホモ・ルーデンスの2週間だった。

♪新築の大工仕事が減りましたと甥っ子はけなげに耐えて春を待ちおり 亡羊

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