♪ある晴れた日に その26
春の宵近江の牛を食べにけり
蟷螂の斧振りかざす春の宵
修道女の瞑想破る太刀嵐
桜花一輪拾いて水に浸す
桜咲く今朝の女の薄化粧
これ鶯 ホ長調で鳴いてみよ
ト短調で歌うなハ長調で歌え
景時の行方はいずこ鯨殿
こんな東京に誰がしたんだと慎太郎言い
人間を辞めたしと思うこと多し今日この頃
新築減り仕事なくなりし甥っ子の心配す
君、そういうことじゃなくて毎日新しい歌を歌うことだよ、下手くそでもね
流れている水の中ではオタマは育たない子供も同じである
ここからは進入禁止と5人組何事にもタブーはあるぞ
ランクル、オートバイは進入禁止おいらは太刀洗5人衆
戯れに歌など詠めばひょいと出るその地金のおぞましきことかな
漠然とした不安なんぞで死んでたまるか死ぬわきゃねえぞ芥川
ヘルメットに棍棒握って武装せしわが手が握りし黄色な檸檬
左手に棍棒、右手に檸檬を握り締め佐藤訪ベトを阻止するぞわれ
一夜にして百花落ち一朝にして百花咲けり
わが庵の天井の木に巣食いたる白色腐朽菌夜な夜な増殖す
ある日の午後妻に別れを告げに来し瓦斯屋の青年故郷で縊る
健常の人を生涯妬みつつなお障碍の人とおるかな
嗚呼遂に我が家は40アンペアになりはてぬ25年間30アンプなりしに
噎せ返る馬酔木の香りに包まれてかの日藤山で捕えしあの岐阜蝶よ
噎せ返る馬酔木の香りに包まれてわが捕えしギリシアの妖精
にょろにょろとたたみのうえをはう蛇を座布団かぶせて捕らしはうちの健ちゃん
しゃがたんぽぽすみれなのはなちゅーりっぷしろやまぶきけふわがにわにさけるはなばな
お前などに今日もお気持ち爽やかにお過ごしくださいなどど言われたくないわい 与黒田某
新築の大工仕事が減りましたと甥っ子はけなげに耐えて春を待ちおり
一晩中寝ながら短歌を詠んでおったが朝になるとすべて忘れてしまった
そよ風は湿生花園を駆け巡り箱根連山雲湧き起こる
紺碧の空の彼方に何がある翔る男にわれもなりたし
一輪草二輪草てふ白き花おなじ姿で寄り添いにけり
空や木や山を冷たく映せる池ありてシュレーゲルカエルしげく鳴きたり
近づけば両の腕大きく空に広げいまわれを抱かんとするシデコブシあり
柔らかきロストビーフ喰らう吾子を見るこれぞわが生涯最良のときかな
シャガールをシャーガルと言うヤクザが出る日本映画をもう一度見たし 於ポーラ美術館
寝んねぐーして死んでしまえればこんな楽なことはない寝んねぐーする
♪俳句は断想であり短歌は私小説である 茫洋
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