ふあっちょん幻論第14回 20世紀の10大トレンドその6「ジーンズ」
ジーンズは19世紀の半ば アメリカの田舎で金鉱採掘用作業服として誕生した。
1853年 ババリアからの移民リーバイ・ストラウスが、作業用パンツを丈夫な帆布用の綾織布で作った。当時イタリアのジェノバからアメリカへ輸出されていたインディゴで染めた安くて丈夫な帆布を使用した。仏語のLe Jean→英語のJeanとなる。
同じジーンズでも、厚地綾織り綿のフランスのニーム産もあった。この「ニームのサージ」Serge de Nimes )がデニムの語源となった。
黒船の到来がわが国の明治維新をうながしたが、ペルリ提督が切実に求めていたのは、ほかでもない米国の捕鯨船の寄港と石炭、薪の補給だった。当時の米国は1851年メルヴィル著「モビーディック」のエイハブ船長みたいな輩が世界中の鯨をとりまくっていた。しかも肉は捨てていた。もったいない!
リーバイ・ストラウス社第1号ジーンズは1873年製。同社製の1880~1885年世界最古のジーンズがネバダ州の元鉱山街で発見され、リーバイ・ストラウス社が560万円で落札。腰ポケットが右側だけ。ウオッチバンドもなく、ウエストバンドつきのバックヨークもついていない。01年11月、その復刻版がヴィンテージラインとしてたった500本だけ$400で世界主要都市で発売された。
「リーバイス501」は布の重なり部分にリベットを打つというジェイコブ・ディヴァイスのアイデアを生かし、これがヒットした。
1929年の世界恐慌後、豊かになったアメリカ東部人が西部の牧場で休暇をすごしたおみやげがジーンズだった。これが「都会の街着」になり、30年代の衣服のカジュアル化を後押しした。
二つの大戦を通じて、アメリカのGIがジーンズを「世界服」にした。しかしそのイニシアチブをGIとプレスリーから奪って「反逆する青春」のイメージを作ったのはジェームス・ディーンだった。
1968年 仏5月革命.69年安田講堂.学生反乱氾濫、反戦フォーク、ヒッピー反体制運動の高揚はつねにジーンズとともにあった。「権力と戦わぬ者は、けっしてジーンズをはいてはならない」とは、当時のあまでうす氏の言葉。
ケンゾー、マリテ&フランソワ・ジルボーらがジーンズをフアッションアイテム化した段階で、ジーンズは反体制のシンボルであることをやめた。
1969年から国産ジーンズの普及と大衆化、その後20年にわたる成熟と陳腐化。
00年から海外製高級ジーンズブーム始まる。
ジーンズこそ、ストリートフアッション、トランスジェンダー、コスモポリタン、カジュアルなど、20世紀のファッション・キーワードの要件をほぼ満たす代表的なアイテムであった。
♪新しき浴槽に初めて身を沈めつつ思うかの古き浴槽はいずこへ行きしか 亡羊
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