春のにわか勉強 20世紀の10大トレンドその3
第3トレンド
クリスチャン・ディオールの「ニュールック」/エレガンスの再構築
19世紀頃からファッション界には身体快適機能性への大反動が起こった。せっかくそれまで人間の身体の機能性に優しく対応してきたナチュラリズム志向を、当時ファッション界の盟主であったディオールが自己否定したのである。
1947年2月11日、「心が軽やかなら、布地の重さなど苦痛にならない」という有名な格言とともに、パリのモンテーニュ街のアトリエで誕生したのは、細いウエスト、美しくシェイプした豊かな胸、たっぷりしたロングスカートのドレスであった。
これこそは19世紀の古典的エレガンスの20世紀における復活であった。当時の「ハーパース・バザー」の編集長キャメル・スノウ、ディオールのこの新作を「本当に新しいルック」と評したのでこの名前が一世を風靡したのである。
ディオールの功績
軍服ルックを駆逐 エビータ、マーガレット王女、ヘプバーンの衣装etc
54年 Hライン 55年 Yラインを発表
「平和時代のぜいたく」の象徴 リヨンの高級絹
シャネル以降アメリカに移動したファッションのヨーロッパへの復権
50年代はディオールに続きピエール・バルマン、バレンシアガなどがパリ・オートクチュールの黄金期を作った。しかしこれは一時的現象で、57年秋には紡錘型のフュゾーラインのルーズフィットのシュミーズドレスが発表され、着やすい服の時代が再来する。
このフォーマルとカジュアルの2極への重心の移動と動・反動こそは世界のファッション史の大きな機制のひとつである。我々は、一定の周期で移動する惑星の軌道を想像することもできよう。
60年代はTシャツ&ジーンズに象徴されるカジュアルなユニセックスが登場した。
マリー・クワント、ピエール・カルダン、アンドレ・クレージュ、サンローランなどのミニ旋風が巻き起こり、体を美しく露出する美意識・価値観が登場する。
米国では50年代半ばのビートニック世代が史上初めてストリートファッションを提示し、この流れが66年のヒッピー文化に継承される。
64年ガーンライヒのトップレス水着、パリコレでは66年サンローランのシティパンツが登場。エレガントで機能的なスタイルは67年に日本のイエイエで最後の花を咲かせた。
女房の茶碗を割りし悲しさよ 亡羊
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