Sunday, January 07, 2007

不相応な天からの贈り物

あなたと私のアホリズム その4

日本国憲法の序文と第9条は、たぶんいかれぽんちの米国の理想主義者の脳裏に浮かんだ一瞬の夢だった。

しかしそれはなんと美しい、まるで7色の虹のような夢であったことだろう。

私はこの条文を目にするたびに、かつてベートーヴェンが「歓喜の歌」で歌った人類の恒久平和を希求する高らかな調べを想起する。

アジアの片隅のこの不思議な国は、世界中の誰もが生涯に一度は高らかに歌うことを夢に見、しかしついに楽譜には書かれなかった20世紀の奇跡のアリアをなんと60年間にわたって、たった一人で、アカペラで、歌い続けてきたのだ。

また私は、私はこの条文を目にするたびに、かつて「他者の暴力に対する無抵抗」を説いた父聖徳太子の遺訓に従って、潔く蘇我入鹿に殺された山背大兄皇子とその一族の勇気を想起する。

 「眼には眼を、歯には歯を」が常識の世にあって、自らの非武装と自己犠牲を武器として他者の暴力に倫理的な優位に立とうと試みた真の理想主義者は、仏陀の教えをまともに信じたこの山背大兄皇子とマハトマガンジーだけであり、日本国憲法の第9条はその「捨身飼虎」の思想を受け継いでいる。

だから、日本国憲法は、急にせちがらい現実とやらに目覚めて“普通の国の普通の人”になりたくなった日本人にとっては、お荷物そのもの。所詮は猫に小判、豚に真珠、夢のまた夢、の天から降ってわいた傍迷惑な贈り物であったのである。 

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