前作の「文学賞メッタ斬り!」が芥川賞や直木賞の内幕を暴露して面白かったので、その続編にもつい手が伸びてしまった。
ともかく渡辺淳一や石原慎太郎、津本陽とか宮本輝などの審査委員がいかにでたらめな審査をしているのかがよくわかる。
直木賞担当の津本などは毎回最終候補作を読まずに審査しているそうだ。また芥川賞の審査委員は任期がないということも初めて知った。
本書は、時代遅れの感度の鈍い老壮大家?が、新しい時代の新しい文学の芽を評価するどころかブルトーザーのように押しつぶしてきた「輝かしい歴史と実績」についてもくわしく教えてくれる。
今回は特別ゲストに文壇のハンカチ王子、いや違った、貴公子の島田雅彦が登場。そこまで語っていいのかという内輪話をスラスラと話す。
以前彼にインタビューしたときにも感じたことだが、「言語明瞭、意味明快」という言葉は、まさしく彼のような作家のためにあるのだろう。
彼はビールでくちびるを潤しながら、(「インタビューなどはビールでも飲みながらじゃないとやってらんないよ」とほざいた!)実に豊富なヴォキャブラリーを、的確かつ華麗に駆使しつつ、しかも見事なまでに論理的に語る。
最近やっと消えてくれたアホバカ小泉や、それに代わって最近やたらと出没する安倍ちょうちんの超醜い日本語とのなんという違いであることか!
よどみなく流れる島田の言葉をテープに起こすと、そのまま完璧な日本語になっているのに驚いた。彼なら太宰治がやってのけたように、ビールを飲みながら同時筆記で小説を書くことができるだろう。
第2回の「詩のボクシング大会」で優勝したときの最後の即興詩のできばえも、誠に見事なものだった。
このあいだ三島由紀夫の日本語や英語の講演(新潮社の全集にCDで入っている)を聞いたときに思ったのだが、この二人の朗読はどこか感じが似ている。まあ二人ともハンサムで頭が異常に切れる作家には違いないけど。
この点、引き合いに出して悪いが、例えばテレビ東京の「カンブリア」だか「ウンベルト」だかしらないが下らないビジネストーク番組に出演している村上龍の拙いしゃべりに比較するとそれこそ雲泥の差である。
ちなみにこの番組では小池栄子のしゃべりの方が龍よりクレバーなのも不思議だ。
もうちっとぐあんばれよ、龍。
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