Monday, October 23, 2006

死刑囚たちの歌

死刑囚たちの歌


よごすまじく首拭く
寒の水

布団たたみ
雑巾しぼり
別れとす

叫びたし
寒満月の
割れるほど

梅雨晴れの
光を背負い
ふりむかず

秋天に
母を殺せし
手を透かす

桜ほろほろ
死んでしまえと
降りかかる

つばくろよ
鳩よ雀よ
さようなら

絵を
描いてみたい気がする
夏の空

キャラメルで
蝿と別れの
茶をのんだ

房の蝿
いっしょにいのって
くれました

幸せは
ひとつで足りる
鬼あざみ

革命歌
小声で歌ふ
梅雨 晴間
 
以上、都築響一著「夜露死苦現代詩」(新潮社)第五章「死刑囚の俳句」より転載

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