死刑囚たちの歌
綱
よごすまじく首拭く
寒の水
布団たたみ
雑巾しぼり
別れとす
叫びたし
寒満月の
割れるほど
梅雨晴れの
光を背負い
ふりむかず
秋天に
母を殺せし
手を透かす
桜ほろほろ
死んでしまえと
降りかかる
つばくろよ
鳩よ雀よ
さようなら
絵を
描いてみたい気がする
夏の空
キャラメルで
蝿と別れの
茶をのんだ
房の蝿
いっしょにいのって
くれました
幸せは
ひとつで足りる
鬼あざみ
革命歌
小声で歌ふ
梅雨 晴間
以上、都築響一著「夜露死苦現代詩」(新潮社)第五章「死刑囚の俳句」より転載
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