Thursday, March 24, 2011

花村萬月著「百万遍流転旋転 下巻」を読んで

照る日曇る日 第418回

最後の最後に、美しくて純情なヒロイン綾乃が東京に向かう深夜特急バスを降りて、主人公のあくたれ小僧惟朔に私はここであなたと別れます。大好きなあなたと別れて、私なしには生きていけない嫌いな男の元へ帰ります、と宣告するので驚いてしまった。

これが奇をてらいたがる著者のフィクションでなく実話であるならば、惟朔はどうして彼女を無理矢理引き留めるか、一緒に降りて百万遍に百万遍でも戻らなかったのか理解に苦しむ。

まだ19歳の癖に惟朔は覚醒剤を乱用して性的快感を亢進しようとするのであるが、そんなことばっかりしていたから芥川賞が獲れたのであった。


   文章も思想も無骨な文学者の作物のほうが値打ちがある 茫洋

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